アダルトアニメ「思った以上に二次元は面白い!」

黄金期〜1985年から1990年後半まで

アダルトアニメは大きく成長を遂げました。誕生から色々な時代を経ていよいよひとつのピークを迎えます。そこでは全てが自由となる。この可能性を十分に発揮してシーンは百花繚乱のドラマに突入します。


アダルトアニメは多くの過程を経て今日に至っています。その道筋はいたって平坦なものではありませんでしたが、この成長は紛れもない事実です。1970年代・1980年代を経ていよいよ時代は1990年代に突入します。この時期は今までに前例がないほどの多くの作品が流通し、空前絶後のピークを迎えることになるのですが、ここではその隆盛期前夜と時代の根幹についてひも解いていきたいと思います。1980年には前述のような色々な事が重なりアダルトアニメの基礎が出来上がったと言えます。膨れ上がるメディア、増大するアダルトオタク人口に伴いクリエイターの増大も手伝って90年代半ばには少なくともその十年前の数百倍の作品がリリースされたと推測されます。それまで蓄積されてきた原作や脚本に当たるのべルズやコミックスはユーザー側からの要望からもことごとく既存の作品のアニメ化が図られ、技術的・構造的・商業的にも安定し始めた制作プロダクションも着実にハイレベルでハイセンスな作品を続々と世に送り出すことになります。ここで特筆しておかなければならないのはこの時代の十代後半から三十代くらいまでの世代が形成する文化の特殊性です。戦後第二次ベビーブームに当たるこの世代の特徴とはズバリ言って同世代の人数が多いということ、そして戦後の特需景気に沿うように成長したためメディアや最新の流行、技術革新の汎用普及をもろに体験しているという点が挙げられます。物心ついたときにはすでに恒常的にテレビ放送でアニメーションが放映されており、それに伴うおもちゃグッズ(いわゆる超合金モデルやソフトビニール人形、冊子編集したムック書籍、キャラクターをパッケージに使用したお菓子など)が日常生活の中に存在していたことが挙げられます。やがて時代は進みデジタルという人類がまだ経験したことのない文化もこの世代はデジタルゲーム機やテクノムーブメントというファクターを通して体験することになります。先にも述べたように同世代の人口が著しく多いということ、また幼年期から思春期にかけて娯楽としての経験を同じくしていることはそののちのオタク文化が形成される上でも必然的要素であり、この好環境をなくして後のムーブメントは成立しなかったのではないかとさえ思われます。更に日本は国際情勢的にも国内経済的にも安定した時代が続き、思春期から成人に達する彼らの中からは、かつて影響を受けた作品やクリエイターをリスペクトしつつ先人同様プロのコミックス作家やアニメ映像クリエイターに成長する人材も多く現れはじめ年々続いてきた制作作品の勢いは90年代にかつてない頂点を迎えることとなります。さらにその底辺を支えるアダルトユーザーもコミケ(コミックマーケット)などを通じて自ら制作したコミック作品を自由に発表する活動も盛んになり、アダルトアニメブームのレベルを数段あげる役割も果たしていたと言うこともおおきな追い風となったでしょう。同じ時代を経験する世代が多いということ、それはまさに同じ言語を有する各個人がそれだけでコミニュケーションがスムーズにとれるということを意味し、言わば「大多数の人間が理解しうる内輪ネタの共有」というカルチャーレベルの利点をはらんだ世代であると言うことが断言できると思います。しかしこの時代,、以前にも増して更なる分野の開拓と増産を続けることは何らかの矛盾を生じ始めているという事実がありました。そのジャンルの人口が増えるということはクリエイターや作品数が飽和状態になることを意味し、高品質な傑作を排出する一方で劣悪な凡作も数多く制作される温床となります。さらにハイレベルで新しいものを望むヘビーユーザーの要求に対し制作側の創意が追い付かなくなる状況が現れ始めるとこのジャンルも斜陽のかげを落し始めます。透視図的にそれらを客観視したとき、アダルトアニメの隆盛期は1990年から90年半ばという考え方が妥当ではないかと思われます。しかし衰退の一途をたどると思われたこのジャンルもこの黄金期を境に次世代に向けて更なる一歩を踏み出していたことを当時の世相は予想出来なかったことをここに添えさせて頂きます。いつのときもそうであるように流れの真っただ中にあるということはその環境に慣れ親しみ過ぎていることを意味し、次世代の新しさに気づけなくなるという盲点があります。同じ価値観を持つもの集合ならさらにその感覚は鈍化してしまい、来たるべき新たな空気を敏感にキャッチできなくなっていたのもこの時代だと思われます。この後2000年を境に新たなムーブメントが到来する事になるのですがそこに至るにはさらにまた新たな要素が加味されることになったようです。